SBTN (SBTs for Nature)について
SBTN (SBTs for Nature)に向けた企業の取り組み

SBTs for Natureは、SBTNと略され、これはTNFDとは異なるイニシアティブです。ここでTNFDは、目標設定に対して、科学的な根拠に基づく、このSBTNが提言している手法を参照しています。

このSBTNは、5つのステップから成り立ち、①分析・評価、②理解、優先順位付け、③計測・設定・開示、④行動、⑤追跡からなっています。これらの5つのステップというのは、TNFDのLEAPアプローチによく対応する形になっていて、非常に参考となるところです。この関係を見てみますと、LEAPアプローチの発見と診断のところが、このSBTNの1つ目のステップ、「①分析・評価」のところに対応し、目標設定に非常に参考になるものです。そして、LEAPアプローチの評価のところが、SBTNの「②理解、優先順位付け」のところに対応します。そして、LEAPアプローチの準備のところが、SBTNの3つ目、「③計測・設定・開示」のところに相当します。さらに、SBTNではその後の4番目「④行動」、そして5つ目「⑤追跡」、これらの5つのステップから成り立っています。それではこの5つの項目について、その内容を見ていくことにしましょう。
SBTN (SBTs for Nature)に必須のAR3T

上に示している図は、TNFDの追加ガイダンスではなくて、SBTNのガイダンスの資料をお示ししております。こちらの方がその内容について詳細に記載されており、その概要を示している図になっています。
5つのステップが記載されていて、その中身は、①「分析・評価」では、マテリアリティ分析評価を実施し、その後にバリューチェーンのマッピングを行うという流れです。このことによって、目標設定の対象の可能性がある課題領域を特定し評価することができます。
その次に、②理解・優先順位付け」を行います。これは、先ほど特定したところに対して、影響の範囲を特定し、場所の優先順位付けを行うものです。このことによって、当初の見込みを理解することで、優先順位付けを行うことができます。
そして、③「計測・設定・開示」ですけれども、これは、ベースラインを測定、モニタリング計画を作成、目標を設定、そしてベースラインの目標を開示する、このような流れになっています。

その次のステップとして、④「行動」になります。この行動については、SBTNでは、行動の枠組みが提示されており、その順序は、「回避 (Avoid)」、「軽減 (Reduce)」、「復元と再生 (Restore and Regenerate)」、そして、このことによってもたらされる「変革 (Transform)」、この4つの順番通りに行うという行動の枠組みが示されています。この順番は、ミティゲーション・ヒエラルキー (Mitigation Hierarchy) と呼ばれていて、生物多様性に対して影響を緩和するための順序となっています。SBTNでは、これらを頭文字をそれぞれとって、AR3Tと呼んでいます。これによって行動をしていくことになります。
最後に、⑤「追跡」です。これは、モニタリング、報告、そして検証を行うことになっていきます。
この様にして、TNFDでは目標設定に対して、このSBTNを参照していることになります。ここまでが追加ガイダンスの大まかな内容をご紹介いたしました。
SBTN (SBTs for Nature)について総括
- SBTs for Nature (SBTN):
- SBTNはTNFDとは異なるイニシアティブで、科学に基づく目標設定手法を提案している。
- TNFDはこのSBTNの手法を参考にしている。
- 5つのステップ:
- 分析・評価:
- マテリアリティ分析評価を実施し、バリューチェーンのマッピングを行う。
- 目標設定の対象としての課題領域を特定・評価する。
- 理解・優先順位付け:
- 特定した領域に対する影響範囲を特定し、場所の優先順位を付ける。
- 見込みを理解し、優先順位付けを行う。
- 計測・設定・開示:
- ベースラインを測定し、モニタリング計画を作成。
- 目標を設定し、ベースラインの目標を開示。
- 行動:
- 行動の枠組みは「回避 (Avoid)」、「軽減 (Reduce)」、「復元と再生 (Restore and Regenerate)」、「変革 (Transform)」の順序で示されている。
- この順序はミティゲーション・ヒエラルキー(Mitigation Hierarchy)と呼ばれ、生物多様性への影響を緩和するための順序。
- 追跡:
- モニタリング、報告、検証を行う。
- 分析・評価:
- 関連性:
- SBTNの各ステップはTNFDのLEAPアプローチと関連しており、目標設定や戦略の策定において非常に参考となる。