TNFDのLEAPアプローチとLEAP手法とは?
TNFDのLEAPアプローチとLEAP手法の手法

LEAPアプローチは、TNFD提言の作成に向けた準備に相当するプロセスになっています。あらかじめ準備として、事業活動と生態系との接点を見出して、依存とインパクト、リスクと機会を事前に洗い出しておくことで、TNFD提言に備えておくものです。このLEAPアプローチは、義務付けられているプロセスではありませんが、TNFD開示の準備を進める際の有効な手段となるため、実践できるところから取り入れてみることが推奨されています。
LEAPアプローチというのは、発見(Locate)、診断(Evaluate)、評価(Assess)、準備(Prepare)、この4つのステップの頭文字を取ったものです。そして、このLEAPアプローチに入る前に、あらかじめ「スコープの設定」というものを行っておきます。これは何かというと、対象が生態系という非常に広範囲であるために、そこに向けたアプローチの準備として、事前に評価目的と範囲を明確化しておく、という設定になっています。これによってある程度方針が明確化したところで、LEAPアプローチに入っていきます。
TNFDのLEAPアプローチとLEAP手法の内容
そのまず最初が「発見(Locate)」というものです。これは自社またはバリューチェーンにおいて、事業活動をすることによって自然とどこのポイントで接点を持つか、という場所を発見するものです。例えば、優先地域などのようなマテリアルな地域ですとか、要注意地域について、この4つの段階を経ることによって発見していくというものになっています。この自然との接点が発見し終わった後に、それに起因する依存とインパクトに関係するのが診断と呼ばれているものです。この診断では、依存とインパクトについて、このステップを経る事によって、その依存とインパクトの特定から評価へ向けて行っていくものです。
この自然資本とインパクトについて、評価まで行った後、続いて「リスクと機会の評価」を行っていきます。依存とインパクトの評価に基づいた「リスクと機会」について、この図にあるステップに沿って行うことで、特定から評価へ至っていくものです。そうするとここまでの知見をもって、準備のプロセスに入っていきます。ここではリスクと機会などをもとにして、リスクの回避と機会の獲得に向けたターゲット設定を行い、報告・開示に向けた準備を整えていくことになります。

その後に、先住民族、地域社会と影響を受けるステークホルダーとのエンゲージメントに取り組み、シナリオ分析をするといったことを通じて、さらに全体のサイクルを繰り返していくことで、TNFD提言に備えておくものです。そして、実際にこれらの準備が、TNFD提言のどこに紐づくのかということが下のところに書かれていて、例えば「発見」については、TNFD提言の戦略の部分、A、B、C、D、と四つありますが、そのうちの戦略Dのところの準備に相当するものです。同じように「診断」の部分に関しては、TNFD提言の戦略A、戦略D、リスクとインパクト管理AとB、測定指標とターゲットB、についての準備に相当するものです。評価については、戦略A、戦略C、戦略D、リスクとインパクトの管理A. B. C. 、測定指標とターゲットA. Bに相当します。
最後の準備のところは、ガバナンスA. B. C. 、戦略B、戦略C、測定指標とターゲットC、の準備に相当するものです。それでは、このLEAPアプローチについて、最初にスコープの設定、その後に発見、診断、評価、準備、この順番について、次にご紹介をしていきたいと思います。
総括:TNFDのLEAPアプローチとLEAP手法とは?
- LEAPアプローチの目的:
- TNFD提言の作成に向けた準備プロセスであり、事業活動と生態系の接点を見出し、依存とインパクト、リスクと機会を事前に洗い出すことが重要。
- 実施の推奨:
- LEAPアプローチは義務ではないが、TNFD開示の準備を進める際の有効な手段として、実践可能な部分から取り入れることが推奨されている。
- LEAPの4つのステップ:
- 発見 (Locate):
- 自社やバリューチェーンにおける自然との接点を見つけるプロセス。
- 例:優先地域やマテリアルな地域の特定。
- 診断 (Evaluate):
- 発見した接点に基づいて、依存とインパクトを特定し評価を行うプロセス。
- 評価 (Assess):
- 依存とインパクトの評価に基づいて、リスクと機会の特定と評価を行う。
- 準備 (Prepare):
- リスクの回避や機会の獲得に向けたターゲット設定を行い、報告と開示に向けた準備を整える。
- 発見 (Locate):
- ステークホルダーとのエンゲージメント:
- 先住民族や地域社会との影響を受けるステークホルダーとの関係構築を行い、シナリオ分析を実施。
- 全体のサイクルの繰り返し:
- LEAPアプローチを通じて、TNFD提言に備えるためのプロセスを継続的に実施。
- アプローチとの関連性:
- LEAPアプローチの各ステップは、TNFD提言の各戦略(A、B、C、D)やリスクとインパクト管理、測定指標とターゲットに相当する準備に紐づいている。
- スコープの設定:
- 自然という広範な対象に向けた準備として、評価目的と範囲を事前に明確化することが重要。
このように、LEAPアプローチはTNFD提言に対する準備を体系的に進めるための一連のプロセスとして位置付けられています。