価値創造プロセスとその作り方
価値創造プロセスの作り方「オクトパスモデル」とは

この図にあるのが、先のスプリングモデルの中心となる価値創造プロセスであり、その形から「オクトパスモデル」と呼ばれます。まず、ここのインプットに相当するものとして資本があります。資本とは元手であり、事業による創造価値はこの資本を出発点として支えられています。この資本を活用して、インプットして事業活動により価値を創造して、製品やサービスなどといった形でアウトプットされます。そのアウトプットされたものが、社会にリリースされることによって、世の中への貢献へとつながりアウトカムをもたらします。このときにインプットで用いた資本は、新たに価値が付加されて再び利用されるサイクルとなります。
ここでは、資本として6つが挙げられています。簡単に解説しますと、
・財務資本は、製品を生産しサービスを提供する際に利用可能な資金
・製造資本は、製品の生産またはサービス提供にあたって、組織が利用できる製造物
・知的資本は、特許、著作権、ソフトウェア、権利及びライセンスなどの主に無形の知的財産権
・人的資本は、個人の能力、経験及び努力や意欲に基づくもの
・社会・関係資本は、個々のコミュニティ、ステークスホルダー、その他のグループやネットワーク、またはそれら全体の関係のことで、これらの関係性の保持に務めることで、信頼などが構築されるもの
・自然資本は、空気、水、土地、鉱物、および森林や生物多様性、生態系の健全性などを示しており、生態系サービスに相当するもの。これについては別途詳細に解説しています。

これらが資本として挙げられているもので、このダンスガイでは資本は事業の実態に応じて変えて良いとされています。続いては、中心となる価値創造部分をご紹介して参ります。
価値創造プロセスの作り方とプロセス図
オクトパスモデルの中で、この中心の価値創造プロセスについて見ていきましょう。中央の青文字の部分です。まずは根幹をなすビジネスモデルですが、組織の計画を達成して、短期、中期、長期的に価値を創造することを目的に、インプットを事業活動を通じてアウトプットして、そして最終的にアウトカムに変換するシステム、これが「ビジネスモデル」と呼ばれるものです。 これはあらゆる資本をインプットして総動員して、事業活動を通じて価値を創造して、製品やサービスとしてアウトプットして最終的にリリースすることによって、世の中への貢献へとつながりアウトカムをもたらします。そして、このビジネスモデルを取り巻く「外部環境」を見ていきます。
「リスクと機会」とは、企業が創造価値を行う際に短期、中期、長期的に影響を及ぼすと考えられる具体的な要因リスクと、商機として捉える機会について、どのようなものが挙げられるのかについての内容です。また、組織はこれらのリスクと機会に対してどのような対策を行っているのか、についての内容にもなります。
「戦略と資源配分」ですが、組織の短期、中長、長期における目標や、その実現するための現在の状況分析と今後の戦略、そしてその戦略を実行するための資源配分計画などが相当します。これは組織の戦略と資源の配分計画との関係性についての内容等あり、例えばそれにより組織に競争優位性を与え、価値創造を可能にするロジックなどの内容となります。そして、どのようにその達成状況やアウトカムを評価することができるのか、などについても含む内容になります。
「見通し」は、組織がその戦略を遂行する上で、どのような課題や不確実性に直面する可能性が高いか、ということや、結果として将来の実績への影響などが相当します。例えば、起こり得る危機的な状況や不確実性に対して、組織はどのように備えているか、ということについて、組織が利用できる機会などを通じて最大限に活用することや、事業の競争環境や市場におけるポジショニング、直面するリスクに対する現実的な対応策など、整合性をとって記載する必要があります。
「実績」はこの期間に戦略、目標をどの程度達成したのか、についての情報になります。例えば、財務指標と非財務指標とを統合させて得られるKPI、例えば売上高と温室効果ガス排出量との比率と株主との関係など、このような財務指標と非財務指標の統合させて得られるKPIや、または目標やリスクと機会に関する定量的な指標や、過去の実績と最新実績との関係、および現在の実績と組織の見通しとの間のつながりなど、更には主要なステークスホルダーの関心にどのように対応したか、そしてその関係性はどのようになったのか、など幅広い範囲に及びます。
「ガバナンス」は、このような価値創造のプロセスについて戦略的な意思決定を行ない、現状や成果をモニタリングして、リスクに適切に対処するために機能する仕組みであり、組織を規律づける規定の下に、プロセス全体がガバナンスのもとで運用されていくことになります。
それでは、このモデルを使った実際の好事例について、次のコラムでご紹介させていただきます。
価値創造プロセスとその作り方について総括
- オクトパスモデル:
- 価値創造プロセスの中心を示したもので、資本をインプットとして事業活動を通じて価値を創造し、製品やサービスとしてアウトプットする。
- 価値創造プロセスの中心を示したもので、資本をインプットとして事業活動を通じて価値を創造し、製品やサービスとしてアウトプットする。
- 資本の種類:
- 財務資本:事業を行うための元手。
- 製造資本:製品やサービス提供に必要な生産物。
- 知的資本:特許、著作権などの無形資産。
- 人的資本:個人の能力や経験。
- 社会・関係資本:コミュニティやステークホルダーとの関係。
- 自然資本:環境資源や生態系の健全性。
- 価値創造プロセス:
- ビジネスモデルは、インプットからアウトプットを通じてアウトカムに変換するシステム。
- ビジネスモデルは、インプットからアウトプットを通じてアウトカムに変換するシステム。
- 外部環境:
- リスクと機会:企業価値を創造する際の影響要因とそれに対する対策。
- 戦略と資源配分:目標達成のための戦略と資源配分計画を示す。
- 見通し:
- 戦略遂行時の課題や不確実性、そして将来の実績への影響を考慮する必要がある。
- 戦略遂行時の課題や不確実性、そして将来の実績への影響を考慮する必要がある。
- 実績:
- 戦略や目標の達成度を示す情報で、財務・非財務指標を統合したKPIなどにより評価される。
- 戦略や目標の達成度を示す情報で、財務・非財務指標を統合したKPIなどにより評価される。
- ガバナンス:
- 価値創造プロセスにおける戦略的意思決定を行い、成果をモニタリングし、リスク管理を行う仕組み。