CDPとCDP回答について解説
CDPにおけるCDP質問書とCDP回答

環境対応の情報開示の方法として、CDPを活用するやり方があります。CDPは、SBTを活用するSBTイニシアティブの4つのなかの1つで、2000年に英国で設立されたNGO団体です。その役割は、まず環境対応に関する情報が欲しい機関投資家や大手企業が、その投資先企業または取引先企業について情報の開示を要請する場合、その間に入る役割をしているのがCDPです。
例えば、要請元である機関投資家や企業などが、まずCDPに質問書を送り、それを通じて要請対象となる相手先企業に情報開示を要請します。それを受けて回答要請を受けた企業は、その質問の内容に沿っCDP質問書に回答してその内容を公開する、という流れになっています。この流れについて、もう少し詳しく見てみることにしましょう。

CDPサプライチェーン・プログラムというのがありまして、このプログラムに参加している大手企業の場合は、その情報に関してCDPに情報の開示を依頼することになります。その際、その企業の取引先一覧リストを、CDPに送ることによって、CDPはこのリストにのっとって、全てのサプライヤー企業さんに質問書を送付することになります。これを受けたサプライヤーは、回答をするかどうかの判断が迫られることになります。このとき回答する場合には、CDP回答システムへの登録が求められます。
そこで、このサプライヤーが回答するかどうかですが、大手企業がCDPへ開示依頼するのと同時に、このサプライヤー先へも回答登録の要請を連絡することになります。これは、取引先のサプライヤー企業から見ると、何を意味しているのかというと、大手企業がこのサプライチェーンの一員として取引を続けるために、これ回答システムへの登録を義務づけているといったことが、実質的な内容になってるわけです。ということから、この質問書を受けたサプライヤーは、CDP回答システムへの登録を行い、回答することによって、要請元の企業へその環境対応に対する情報が開示される、という流れになっています。
CDPにおけるCDP回答とCDPスコア

このプログラムの参加メンバーは、東証プライム上場企業ですけれども、これについては順次広がっていくものと思われます。そしてこれらの企業は、SBT目標に向けて活動しているわけですから、そこに必要なサプライヤーからの、Scope3算出用の一次データを入手する必要があるために、CDPを活用している、というのが現状になっています。そして、このCDP回答の内容についてですけれども、これは広範にわたる詳細な質問が用意されています。

CDPは、以前は気候変動に関する内容で、特に炭素の排出量などを中心としたものに限られていましたが、現在では気候変動の他に、水セキュリティやフォレストの3分野にわたる質問内容になっています。そして、それぞれの質問の詳細は、ガバナンス、リスクと機会、事業戦略、目標と実績などのように、TCFDと合致した内容になっており、また排出量算定の方法、GHG排出量、排出量詳細、カーボンプライシング、エンゲージメントなどのように、SBTに準拠した内容にもなっております。
このようにしてCDPを介することによって、効率よく環境対応に関する情報を開示することができます。それでは脱炭素経営について、今までを通して長く解説してまいりましたが、脱炭素経営について最後にまとめていきたいと思います。

総括:CDPとCDP回答について解説
- CDPの概要:
- CDPは2000年に設立されたNGO団体で、SBT(Science Based Targets)イニシアティブの一つ。
- 環境情報の開示を促進し、機関投資家や大手企業との橋渡しを行う役割を持つ。
- 情報開示の流れ:
- 企業や機関投資家がCDPに質問書を送付。
- CDPはその質問書を利用して、取引先企業(サプライヤー)に情報開示を要請。
- サプライヤーはCDP回答システムに登録し、質問に回答することで情報が公開される。
- CDPサプライチェーン・プログラム:
- 大手企業が取引先リストをCDPに送付し、そのリストに基づいて全サプライヤーに質問書を送付。
- サプライヤーは回答の判断を求められ、登録が義務づけられる場合がある。
- 目的と結果:
- サプライヤーの回答登録を通じて、環境対応に関する情報が大手企業に開示される。
- このプログラムは東証プライム上場企業を含む多くの企業によって拡大的に実施される見込み。
- SBT目標との関連:
- 企業はSBT目標を達成するために、Scope3の算出に必要な一次データをCDPを通じて入手。
- 質問内容の範囲:
- 初めは気候変動関連の質問に限定されていたが、現在は水セキュリティやフォレストなど、3つの分野に広がっている。
- TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)と合致した内容で、ガバナンス、リスクと機会、事業戦略、目標と実績などに関する質問が含まれている。
- 排出量算定との関係:
- GHG(温室効果ガス)排出量やカーボンプライシング、エンゲージメントに関する内容も含まれている。
- 効率的な情報開示:
- CDPを通じて、企業は効率的に環境対応に関する情報を開示できる。