TNFD 開示項目と開示事例を紹介
開示内容をTNFD開示項目と開示事例と共に紹介

TNFD提言は4つの柱から成り立っており、それに紐づく14の推奨項目が設定されています。4つの柱というのは、「ガバナンス」「戦略」「リスクとインパクトの管理」「測定指標とターゲット」の4つの分野で構成されています。そして、この1つ1つの柱に対して、推奨項目が開示提言として、A、B、C、などのように設定されていて、全体として14項目から成り立っているわけです。これを見てわかる通り、以前に解説しましたTCFDとその内容はほぼ同じになっています。従ってTCFDを行っていれば、このTNFDも同様な考え方で取り組むことができます。
しかし、このTNFDには特有の3項目が追加されています。それが赤印の所です。その3つとは、まず「ガバナンス」では、ステークスホルダーへの関与が設定されています。さらに「戦略」では優先地域の開示、そして「リスクとインパクトの管理」では、バリューチェーン全体に対して、これらの3つがTCFDに加わった部分となっております。これがTNFD提言の内容となっております。これに従って、開示項目を整理して準備いくことになります。

開示項目をTNFD開示項目と開示事例と共に紹介

その次に、追加ガイダンスの一番最初にあたる部分、「TNFDを始めるには」についてです。TNFDの対象とする開示内容は、自然資本、さらには生態系、それを支える生物多様性、といったようにTCFDのように明確ではなく、その対象が極めて広くてあやふやな点であることから、追加ガイダンスの一番最初に「TNFDを始めるには」というガイダンスが設定されているわけです。その内容は大きく2つあり、1つは「7つの主要ステップ」と「始めるための6つの方法」が提示されています。
まずはじめに7つの主要ステップですが、最初に取り組むべき内容として提示されているのが、「自然の基礎について理解を深める」ということです。ここが出発点となり、更にはなかなか理解が難しいところですが、先に解説した部分となりますが、この点を出発として「取締役会や経営陣の賛同を得る」というステップに入っていきます。
ここは開示提言の4つの柱の一つ目、ガバナンスに相当するところになります。ここで賛同を得たら、次に「今あるものから始め、他の活動も活用する」という取り組みになります。生物多様性と自社との関連について、どのように始めていけば良いのかは、非常に難しいと思います。ですから、できるところから始めるということを心がけて、そのできることを少しづつ広げていくことをここでは提案しています。そうすると具体的な活動内容に入り「時間をかけ進歩する計画を立て、計画とアプローチを公表する」、さらには「エンゲージメントを通じて集団としての進歩を促進する」などといった具体的な行動内容に入っていくわけです。
その結果として重要なのは、「進捗状況をモニタリング・評価する」ということです。実際にこの活動を通した分析結果を元に、それがTNFDによる開示内容になっていくわけです。ここまでのところで、大まかな準備ができて、TNFD採用の意思を登録するというステップを踏んで開示に至るわけです。というように、このサイクルを繰り返していきながらその内容を少しずつ深めていく、これが始めるにあたっての主要なステップとして提示されています。
では具体的に「始めるための6つの方法」というのが次に提示されていています。まず初めに「TNFD開示提言」として、これはピラミッド構造の頂点の基盤となる所ですけれども、この4つの柱と14の開示提言、これに沿って準備を進めて参ります。それが終わった後に、「追加ガイダンス」としてたくさんありますが、それをすべて網羅的に行う必要はありません。必要なところに応じて先のTNFD開示提言に肉付けする形で、こういったものにも取り組んでいくということになります。そこからは「TNFDフォーラムへの参加」などが提唱されていて、こういったフォーラムのメンバーになることで学習の機会を得ることが可能であるという事や、「ナレッジハブ」として自然関連問題に関するリソースやウェビナー、学習資料等のコレクションなどを提示されています。もしかしたら、この解説もその1つになるのかもしれません。さらに「ツールカタログ」とありますけれども、分析・評価するためのツールが多くの場合無料で、一部有料のところがありますが、その様なものが提供されております。これらのようなツールの活用、そして最後に「採用意思の登録」といった6つの方法が提示されています。
それではその次の追加ガイダンスとして、よりTNFDを深めた内容についてご紹介していきたいと思います。
TNFD 開示項目と開示事例を総括
- TNFD提言の構成:
- 4つの柱から成り立ち、それに紐づく14の推奨項目が設定されている。
- ガバナンス
- 戦略
- リスクとインパクトの管理
- 測定指標とターゲット
- 4つの柱から成り立ち、それに紐づく14の推奨項目が設定されている。
- 推奨される開示内容:
- 各柱に対して特定の開示提言(A、B、Cなど)が設定されている。
- 特有の3項目:
- TNFDにはTCFDと異なる特有の3項目(ステークスホルダーへの関与、優先地域の開示、バリューチェーン全体の対応)が追加されている。
- 追加ガイダンス「TNFDを始めるには」:
- TNFDの対象となる内容は、自然資本や生態系であり、その開示内容が広くあやふやであるため、具体的な手順が示されている。
7つの主要ステップ
- 自然の基礎について理解を深める:
- 基礎的な知識を得ることが出発点となる。
- 取締役会や経営陣の賛同を得る:
- 経営層に気候関連の重要性を理解してもらい、支持を得る。
- 今あるものから始め、他の活動も活用する:
- 既存の取り組みを踏まえ、できることから取り組みを開始。
- 時間をかけ進歩する計画を立て、計画とアプローチを公表する:
- 長期的な目標に沿った進捗計画を策定。
- エンゲージメントを通じて集団としての進歩を促進する:
- ステークスホルダーと連携し、共同で進歩を促す。
- 進捗状況をモニタリング・評価する:
- 実施した活動の結果を定量的に評価し、見直しを行う。
- TNFD採用の意思を登録する:
- TCFD提言や持続可能な開発に向けた取り組みを正式に採用する。
始めるための6つの方法
- TNFD開示提言:
- 4つの柱と14の開示提言に基づいて準備を進める。
- 追加ガイダンスの活用:
- 必要に応じて、全ての追加ガイダンスを網羅するのではなく、自社の状況に合わせて参考にする。
- TNFDフォーラムへの参加:
- フォーラムのメンバーとして学習の機会を得る。
- ナレッジハブの利用:
- 自然関連問題についてのリソース、ウェビナー、学習資料などを活用する。
- ツールカタログの利用:
- 無料や一部有料の評価・分析ツールを活用してデータを分析。
- 採用意思の登録:
- 実際にTNFDを採用する意思を登録する。