ROIC目安とROIC経営とは
ROIC経営とは、ROIC目安を正しく理解。
ここではROIC経営について、有効性や注意点などを整理しようと思います。ROICは無駄を省いて効率を上げるための有効な指標です。従って、今までにある既存の成熟した事業に対して、さらに利益を求めるためにどこに無駄があるのかということについて、大変役立つ指標となっています。
しかし、新規事業などのような場合、これから成長していくにあたっては、それらの事業に対して将来のキャッシュを生み出すために必要な投資を実行していくことが重要になってきます。その際にROICに頼り過ぎると、本来必要な事業投資を抑制しかねないことが挙げられます。このようなことから、ROICを活用するためには、事業投資を行わなければない部分に関しては、多少ROICが低下したとしてもそれを進めていかなければならないという判断が必要になってきます。それは、ROICを活用するためにはその事業の成長性と合わせて進めていく必要があるということになります。ROICは効率を上げるために無駄を省いていく指標であることから、もう一方でその事業の成長性はどうなのかということも、同時に合わせて総合的に考える必要があるということです。そのためにはROICと成長性の2つの要因を同時に考えながら進めていく必要があります。
ROIC目安として失敗しないROIC経営とは

それを表したものが、左側の図になります。資本収益性と成長性、この2軸で考えていくという図になります。横軸の資本収益性は、ROICとお考えください。それだけではなく、縦軸の成長性も合わせて考えていく必要があるということです。この二軸に対して、それぞれの事業をここにマッピングしていきます。
例えば、図にあるような4つの象限に分けて考えることができます。そこでこの図に照らし合わせて考えてみると、資本収益性が低くて成長性の低い安定的な事業は、ROICを使った経営が有効に働く可能性があります。一方で成長性が高い事業に関しては、資本収益性を多少犠牲にしても、投資を行っていく必要があるかもしれません。そのような場合には、ROICによる指標は有効に活用できない可能性があります。このような視点でROICを活用していくことが求められていきます。
具体的な事例としては、右図にあるような味の素グループの例があります。これは以前にもお示ししたものですが、先ずは効率性と成長性についてそれぞれの事業をマッピングしていくわけですが、それで得られることは、それぞれの事業について今後も重点的に進めていくのか、あるいは見極める事業となるのか、といった判断材料として使っていくわけです。その上で進めていく事業に対して、その事業が効率性を追い求めていくものであれば、無駄を省いた経営を行うためにROICをKPIとして用いてPDCAを回して実行していくことがとても大切です。一方でそうではない事業の場合は、多少資本効率性は落ちたとしても、将来の企業価値向上に向けて必要な投資であれば、そのROICの指標の部分は多少犠牲にしても投資を進めていく、という経営判断が必要になってくるわけです。この様にして、ROICを用いた経営というのは、成長性と合わせて考えていく必要があるわけです。
ROIC目安とROIC経営とはについて総括
- ROICは無駄を省いて効率を上げるために有効な指標。
- 成熟した事業に対して、無駄の特定と利益の向上に役立つ。
- 一方で新規事業においては、将来のキャッシュを生み出すために必要な投資が重要。
- ROICに依存しすぎると、本来必要な事業投資を抑制する可能性がある。
- ROICに依存しすぎると、本来必要な事業投資を抑制する可能性がある。
- ROICは効率を上げる指標であるため、成長性との総合的な考慮が求められる。
- ROICと成長性の2軸で考えることが重要。
- ROICと成長性の2軸で考えることが重要。
- 事業を四つの象限にマッピングして分析:
- 資本収益性が低い安定事業に対しては、ROICを使った経営が有効。
- 成長性が高い事業については、資本収益性を犠牲にしてでも投資が必要。
- 効率性を追求する事業にはROICをKPIとしてPDCAを回して実行。
- 必要な投資を行う事業については、ROICが低下することを受け入れ、将来の企業価値向上に向けた投資を進める判断も必要。